TFT-UAフィリピンスタディツアー
八月十五日~八月十九日
【人数】総勢二十四名。(参加者二十二名、引率スタッフ二名)
【内容】二〇一四年から給食支援をしているバライバイ小学校を訪問してきました。
①日目
窓に揺れる雨の雫に、街の灯りが反射して光ります。空も暗くなってきた夜七時ごろ、マニラ空港に集合した私たちはオロンガポに向かう貸切バスに乗ります。
直接日本から来た子、セブ島から来た子、ミンダナオ島から来た子、カンボジアから来た子、現地集合ならではの前入り組の話で盛り上がります。
マニラから、目的地であるバライバイ地域手前のオロンガポのホテルまで四時間以上の道のりです。バスに揺られながらこれから始まるスタディツアーに心踊らせます。
バライバイ小学校がある地域は「再定住区域」、一九九一年のピナツボ火山の噴火により住処を追われた人々が移住して来た地域です。
マニラから百二十キロメートルの地域で、高い失業率と貧困が問題となっています。
普段日本で行なっているTFTの活動の支援先はバライバイ小学校です。約九百名の生徒が在籍しています。
そのうちTFTの給食を食べている子は百二十名ほど(生徒全員が食べているわけではありません!) です。
誰がTFTの給食を受給するは年に一回の健康診断で測られるBMIで決まります。
バスはそろそろオロンガポのホテルへ到着します。
夜もすっかり深んで、みんな部屋に入りゆっくりと夢の中へ入っていきました。
②日目
朝からみんなでオリエンテーションです。大学も歳もバラバラ。フィリピンではじめまして。全員でツアーに参加した目的をシェアします。
実際に給食が届いている様子を見たい、
途上国に行ってみたい、
先輩の誘い、
友達を作りたい、
勢いで参加したなど様々です。
まだ顔に不安が陰る子も見られます。
アイスブレイク、ツアーでの注意点等を確認していざバライバイへ!
オロンガポからさらにバスで一時間ほど行きます。
小学校に着くとちょうど授業終わりの時間で、たくさんの子供達が出迎えてくれます。
さっそく、子供達が普段食べている給食をみんなで食べます。
「美味しい!」
「野菜入ってる!」
「ちゃんと届いているんだと知って感動した」
「嬉しくてたまらない」
思い思いの声が飛び交っています。
目に涙を浮かべる子もいます。
ごちそうさまをしたら学校見学です。
各教室を回ります。
元気に勉強をしている子供達の姿は希望そのものでした。
その後、子供たちのお母さんへの質問会です。
自分の子供への思いや健康への意識などの質問をしました。みんな前のめりになって質問をしていました。
質問会を終えたらもう夕方です。
それぞれのホームステイ先のお母さんとご対面。各家庭でそれぞれの夜をすごしました。
③日目
小学校には小鳥の声にタガログ語と英語と日本語が混ざって響きます。みんな、それぞれのステイ先であったことをシェアしています。
今日は自分たちで給食をつくる日です!
現地の野菜とお肉を使ったカレーを作ります。
見慣れない形のタマネギやココナッツの実に驚きながらも、だんだんといい匂いが部屋を包みます。
午前中かけてみんなで作ったカレーを子供達に振舞います。おかわりをしてくれる子もいる一方、ひとくち食べてやめてしまう子もいます。
その姿を見てメンバーにも少し悲しい顔が見られました。自分たちもカレーを食べたら午後は班に分かれて日本人だけのディスカッションです。
テーマは「自分にとって食とは」です。
終わってみて発表してみるとカロリーバランスの話や食の選択の話、自分の過去を食の観点で振り返る班もあります。
最後には全員でディスカッションです。
捕鯨の話からカニバニズム→死とポリティクス→死生観→死刑制度→死をコントロール→安楽死といった流れで進んだ深い話になりました。
話に夢中になっていたらもう十六時半、今日という日が濃密すぎて整理がついていない子もいます。
そのままホームステイ先へ。
ディスカッションの時間はとっても青く、美しい時間でした。
④日目
あっという間にバライバイ小学校最終日。
最後はブードルファイトという、バナナの皮の上にご飯を並べて、みんなでそれを手で食べるというパーティです。
仲良くなった子供達とお母さんたちと日本人みんなでする食事は楽しいものです。
食事後は縄跳びをしたり折り紙をしたり、クイズをしたりします。
たくさん遊んだ後はツアーの振り返りです。長いようで短かったツアーで感じたこと、思ったことを言葉にしてシェアします。
まとまりきれていない思いを、感じたままに言葉に乗せてシェアします。
暖かい時間を終えると最後のホームステイへ。各々最後の夜を楽しみます。
⑤日目
朝早く集合してみんなでバスへ。
ホストマザーや子供達とハグをして感謝を伝え、名残惜しいバライバイ小学校をあとにして空港へ向かいます。
バスの中でもみんなの話は盛り上がります。
四日前にはじめましてをした私たちは、おはよう、いただきます、ありがとうを繰り返すうちにかけがえのない仲になりました。
日本の料理と味は違うけれど愛のこもった母の味、
一緒に遊ぼうと子供達が繋いでくれる手のやわらかさ、
慣れない環境で美しい時間を共有した仲間の声、
その全ての時間は愛に守られて輝いていました。
私たちを乗せたバスは空港に向けて走ります。
涙で濡れた瞳に、街の灯りが反射して光っていました。